膝の痛みと筋力強化
足の痛み、膝の痛み、下半身の痛みで悩まれている患者さんに対して当院は筋力強化のご案内をしています。もちろんある程度の痛みを緩和させてからのご案内になるのですが、中には「痛いのに動かすなんて…」と思われる方もいるかもしれません。
痛みがあるのに筋肉を鍛えるのは…
長い間、膝の悪い人は膝周りの筋肉が痩せて衰えている事が多いからです。痛いところがあるとついつい無意識のうちにその部分をかばうようになります。かばうと使わないので徐々に筋肉が落ちてきます。また、膝が痛いからといって動かさないと曲げ伸ばしができない拘縮が生じ拘縮によって痛みが増すのでいっそう動かさなくなる、という悪循環に陥ります。筋力が落ちると膝の関節を支えられなくなりますから膝が不安定になります。
不安定な状態で歩いていると、すなわち体重がかかっていると軟骨がすり減りやすくなります。軟骨がすり減ると痛みが出ます。痛みが出るとまた膝をかばって歩くようになりますます筋肉が落ちていきます。そういう悪循環を止めるために、筋肉を鍛えることが大事になります。筋肉がつくと膝が安定するのでこれ以上軟骨がすり減るのを防いだり、立ち上がったり、踏ん張ったりする動作がスムーズになります。
特に鍛えたい筋肉は内転筋
膝を痛めてる人、もしくは痛めやすい人の特徴に〝太ももの外側の筋肉を過度に使っている〟というのがあります。関節をスムーズに動かすには、前と後ろ内と外など、表裏関係にある筋肉のバランスが重要で太ももの外側の筋肉が過度に使われてしまうと、膝の動きのスムーズさがなくなり膝に負担をかけてしまうのです。そのため、内転筋(太ももの内側)を鍛えるとそのバランスが整うため、膝の痛みの緩和に繋がります。更に内転筋と一緒に裏ももや体幹のインナーマッスルの機能を高めるとより効果的です。また、膝は内転筋の筋力低下が原因で痛みがでることが多いので症状改善には筋力強化が必要になってきます。
補足
内転筋は骨盤から膝の内側にかけて伸びている複数の筋肉の集合体で、主に歩く時や立ち姿勢などで体全体を安定させる役割を担っています。膝の内側はちょうどこの筋の付着部である腱(けん)と呼ばれる部分があり同じ姿勢が続いたり、長時間歩きすぎると内転筋群に過度の負荷がかかり筋疲労が起きてこの腱が引っ張られて痛みを感じやすくなります。